映画「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」感想

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映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』公式サイト

 

INTRODUCTION

岸辺露伴最大の事件、
完全映画化!!

 

【あらすじ】

特殊能力を持つ、漫画家・岸辺露伴は、
青年時代に淡い思いを抱いた女性から
この世で「最も黒い絵」の噂を聞く。
それは最も黒く、
そしてこの世で最も邪悪な絵だった。

時は経ち、
新作執筆の過程で、その絵がルーヴル美術館
所蔵されていることを知った露伴
取材とかつての微かな慕情のために
フランスを訪れる。
しかし、不思議なことに
美術館職員すら「黒い絵」の存在を知らず、
データベースでヒットした保管場所は、
今はもう使われていないはずの地下倉庫
「Z-13倉庫」だった。
そこで露伴は「黒い絵」が引き起こす
恐ろしい出来事に対峙することとなる…。

 

CAST

高橋一生岸辺露伴

人気漫画家。人の心や記憶を本にして読み、指示を書き込むこともできる特殊能力を持つ。

飯豊まりえ泉京香

集明社に勤める、露伴の担当編集。
露伴の取材にいつも付き添う。

木村文乃奈々瀬

露伴が青年期に出会った、謎の女性。

長尾謙杜岸辺露伴(青年)

漫画家デビューしたばかりの頃の露伴

安藤政信辰巳隆之介

ルーヴル美術館で見つかった収蔵品の調査員。
東洋美術の専門家。

美波/エマ・野口

ルーヴル美術館文化メディエーション部の職員。

 

STAFF

監督 渡辺一貴

脚本 小林靖子

人物デザイン監修・衣裳デザイン
柘植伊佐夫

音楽 菊地成孔/新音楽制作工房

 

◯ストーリー

 骨董美術店で美術品を見に行ったものの、複製品しか売ってないと言われ、マンガなら本物でも偽物でも描いたって同じでしょと言われて、怒る露伴先生。骨董店の店員はヘブンズドアーを説明するための要員である、お馴染みのおふたり。故買やってると露伴に指摘されて狼狽する店員。ヘブンズドアーをして店員二人は倒れるが、そのうちの一人が持っていた美術品集に載っていた真っ黒な絵画に興味を持つ。
オークションに行って、その真っ黒な絵を150万円で競り落とす。オークションで泉くんが来ていたパープルのドレス可愛い。
 なんやかんやあって、ルーヴルにあると言われる山村仁左衛門の絵を見に行く。シャンゼリゼ通りをバスで通るのだけど、それを見て事前に見ていた記事でそこのシーンを撮るために50周はしていたと書かれていたので、ここのことね! となりました。隣り合ったおばあちゃんにシャンゼリゼ通りってどこかしら?(まだかしら?だったかも)という質問に、ここがシャンゼリゼ通りですよとフランス語で答える露伴。泉くんも言ってたけど、フランス語喋れるのね、あなた。本当に何でも出来るな、貴様。
案内してくれるキュレーターさんはおそらく美波さんだと思うのだけど(パンフレット売り切れてた分かりません)、フランス語めっちゃ流暢。フランスのハーフとかなのかしら。
 日本画はないはずのルーヴルで、倉庫だったかどこかで東洋美術品を含む未発表の美術品が千点出たとか。そこに仁左衛門の絵があるのかと期待。突然ゴッホのテオへ出した手紙の内容を引用して現れる日本人臨時キュレーター。東洋美術品の鑑定家らしい。怪しい
泉くんがあの黒い絵は髪の毛と蜘蛛が描かれているのではないかと指摘。露伴に珍しく褒められるけど、ほぼ貶されてるので、あんまり意味ない笑
 同僚か先輩のキュレーターのジャックから、仁左衛門の黒い絵がZ-13倉庫にあると教えてもらう。だが、ジャックは様子がおかしくて、2階?から階下へ落ちてしまう。黒髪、蜘蛛とうわごとをいいながら。ここでも蜘蛛が出てくる。結構この映画、蜘蛛出てくるんだけど、俳優さんの体の上を歩いていることが多いので、私だったら嫌だな〜と思ってみてました。
 Z-13倉庫でフェルメールの幻の名画を発見。日本人キュレーターはすぐに贋作だというけれど、露伴は本物だ、と言う。結局そのキュレーターとルーヴルの消防士とあの最初に見つけた真っ黒の絵を描いた画家(名前忘れた)がグルになって、贋作を作り、本物は持ち出していたことが発覚。怪しかったけど、やっぱり悪いことしてたんだな、日本人キュレーター。
 ある一方向を見た途端、みんなが錯乱し始めた。壁の窪みみたいなところに、あの仁左衛門の絵があったからだった。最も黒い絵なので、誰も気付かなかった。でもそちらを見てしまって、おそらく絵が目に入って、露伴は泉くんに後ろを見ていろと庇う。露伴先生、結構泉くん大切にしてるよね。尊い。エマは公園の池で溺れて死んでしまった息子の幻覚を見て、居ない息子を抱きしめているのが、つらかった。あの絵は過去の罪、しかも自分自身ではなく先祖のものまで、あるいは後悔を見せてくると分析。泉くんはエマを連れて外へ出たけれど、露伴は何か幻覚を見ている様子はない……と思っていたら、指が真っ黒になっている! 体中が真っ黒になっていって、斧を持った男に襲われる。着物を着ていて、日本人なのは分かるけど。そしたら漫画家デビューした頃に、祖母の家でマンガを描いていた時期に、祖母の家に下宿していた奈々瀬が突然現れて後ろから羽交い締めにして、止めてくれた。何で突然現れた。ヘブンズドアーで記憶を消して倉庫外へ逃れる。手に書いてあった頬の文字を擦れという指示で、ヘブンズドアーに書いた記憶を消すという書き込みが消えて、すべてを思い出した。
日本に帰ってきて仁左衛門の墓を発見する。そうすると奈々瀬が現れて、あの若かった頃読めなかった彼女の記憶を読む。
 奈々瀬は藩御用絵師の山村仁左衛門に嫁ぎ、幸せに暮らしていたけれど、蘭絵や浮世絵など何でも絵を描く仁左衛門に父が怒り、仁左衛門は家と訣別する。家を出た仁左衛門夫妻はひっそりと絵を描きながら、生活していた。仁左衛門は奈々瀬の黒髪が好きで、彼女の黒髪の美しさを表現できないと悩んでいた。そんな時に奈々瀬が病に倒れてしまう。治療費をやりくりしたが困窮し、山村家に帰ることを決意し、父に直談判したが、父親は戻りたければ自分を超える絵を描いてみろと課題を与えた。病で何もできない奈々瀬はせめて何かしたいと神社におまいりするようになった。そんな時、御神木の根元から垂れ流しになっていた樹液が漆黒のように黒いことを知り、それを仁左衛門のために持ち帰った。仁左衛門はそれをたいそう喜び、奈々瀬が樹液を持ち帰ったのを後悔するほどだった。仁左衛門が家を出たことで、山村家を継ぐことになっていた弟に、樹液を集めているところを見られ、御神木への不敬として捕えられてしまう。その時に仁左衛門をかばった奈々瀬は打ちのめされ、死んでしまう。怒り狂った仁左衛門は役人を殺し、そのまま御神木を狂ったように切り付け続ける。集めた樹液で奈々瀬の絵を描くと眠るように彼も死んだ。彼の怨念が、過去の罪を、後悔を、絵を見たものに植え付けるようになったのだった。
 ヘブンズドアーで奈々瀬を読んだ時、彼女の旧姓が判明する。山村家に嫁ぐ前の名前は岸辺奈々瀬。露伴の祖先だった。

 

◯感想

 この世で最も黒い絵、邪悪な絵ってどんなものなんだろうと思ったら、めっちゃ綺麗で仁左衛門の奈々瀬への愛が詰まったもので、これが人を呪うようになってしまったのは、本当に悲しいことだと思った。岸辺家は奈々瀬の出身家なので、仁左衛門とは血のつながりもないのだけれど、仁左衛門をまさか高橋さんが演じるとは思わずびっくり。たまたま似てたのかしら。たぶん奈々瀬は未練を断ち切れずに、この世を彷徨っていたんじゃないかと思うんだけど、たまたま身を寄せた下宿で仁左衛門そっくりの露伴に会って相当びっくりしたんじゃないだろうか。
 露伴の若い頃を演じられた長尾謙杜さんは、初めてお顔を拝見したのだけれど、さっぱりしたお顔立ちで、確かに純粋な露伴を演じるのであれば、ピッタリのキャスティングだったかもしれない。アイドルがやるというということしか知らなかったので、不安だったけど、全然平気だった
 泉くんはいつもおしゃれで、カバン小さいけど、今回出てきたシーンで、いつもより大きいカバン持ってるっていうことに驚いてしまった。泉くんの背景も少し垣間見れて嬉しかったな〜。お父さんの写真を見せて、エマに息子はそばにいたかっただけだと思いますよって声をかけて、抱き合うシーン良かった。
 怪奇、ホラーものとして終わるだけでなく、愛の物語として締め括られたのは、今までのシリーズから考えると意外だったけど、ジョジョ自体は人間愛に溢れた作品なので、当然と言えば当然なのでした。

 

0613 追記

仁左衛門の黒い絵を見ても何の幻覚も見なかった、泉くんが最高すぎて……。ずっと露伴先生の編集担当やっててください